
以前タレントの松嶋尚美さんがテレビ番組で「牛乳は有害なので子供に飲ませていない」と発言してネットで話題になっていますね。
もともと牛乳は栄養が豊富で健康に良いということで長い間飲まれてきた飲み物ですが、なぜ健康に悪いと言われるようになったのか、また、実際牛乳はどんな効果効能があるのかを紹介します。
目次
牛乳が健康に悪いと言われる理由は?
松島さんはバラエティ番組「中居正広のミになる図書館」で2歳と3歳になる自身の子供に牛乳を飲ませていないらしく、その理由が
- 牛乳を飲むと体内のカルシウムが尿で排出される
- 乳製品を多く摂る欧米人が骨粗しょう症になりやすい
と発言しました。
このような牛乳有害説はいつから広まったのかというと、
やはり2005年に出版された外科医の新谷弘実医師の著書である「病気にならない生き方」の影響が大きいです。
この本はベストセラーになりましたし牛乳の常識を大きく覆したと言っても過言ではありません。
牛乳や乳製品の部分に関しての本の内容は
「カルシウムをとるために飲んだ牛乳のカルシウムは、かえって体内のカルシウム量を減らしてしまう」
また「牛乳を飲むと骨粗しょう症になる」と述べていて、『市販の牛乳は「錆びた脂」とも言える』とも発言しています。
そして牛乳が良い悪いという議論は日本だけでなく海外でも盛んに行われています。
アメリカでは牛乳を飲み過ぎるとガンになりやすいという研究が発表されているようですが、牛乳の摂り過ぎは身体に良くないのは当たり前でどんな動物性の食品でも過剰摂取はよくありません。
イギリスでは医学誌で
「スウェーデン人を対象に調査したところ牛乳摂取量の多い人は少ない人と比べて寿命が短く、女性では骨折が増えた」と研究結果を発表し話題を呼んだようです。
「1日3杯以上の牛乳を飲む女性は1日1杯未満の人と比べて死亡率が90%以上高くて股関節部の骨折が60%多く、骨折全般では15%多かった」という内容です。
ですがこの英医学誌は調査対象としなかった民族では結果が当てはまらない可能性を示唆していますし、男性は調査の結果、牛乳を多く飲んでも飲まなくてもさほど差がなく、そもそも3杯以上は飲みすぎなので、これだけで牛乳に問題があるとは言い難いです。
そして日本でも牛乳による調査は行われています。
東京の小金井市で70歳以上の男女に
「毎日飲む」「時々飲む、または飲まない」というグループに分けて10年間の生存率を調べたところ
長生きするのは男女ともに毎日飲むグループでした。
このように牛乳に関する研究結果は色々あるのでひとつの調査だけで断定するのは危険です。
牛乳を飲んでもカルシウムが摂れない?
では「牛乳ではカルシウムが摂れない」というのは本当でしょうか?
「牛乳中のナトリウムの摂取でカルシウムが排泄(はいせつ) されてしまう」と新谷医師が指摘しています。
確かにナトリウムの摂取とカルシウム排泄は関係あります。
ですが牛乳の100gあたりナトリウムの量は約40mgとわずかなので過剰摂取しない限りは問題ないと言われています。
また牛乳のカルシウムは100g(約97ml)中のカルシウム量は110mgと豊富ですが、もちろん牛乳よりも多くカルシウムが含まれている食べ物はあります。
ただし牛乳の場合カルシウムの吸収率が他の食品と比べて高いのです。
小魚類・・・約30%
野菜類・・・約19%
豆類・・・13%
これらを比較して一度に飲む量を考慮すると牛乳は他の食べ物と比べても効率よくカルシウムを摂取できるのです。
また新谷医師の「牛乳が飲み過ぎると骨粗しょう症になる」という主張も
「牛乳の摂取量の多い国の方が少ない国よりも骨粗しょう症と骨折の発生率が高率である」
という2003年の世界保健機関(WHO)の勧告から例を挙げています。
ですがWHOは牛乳が原因とは述べていなく原因解明の必要性を指摘しただけですし、WHO自体が「カルシウムの最良の供給源は牛乳、乳製品である」と明確に記載しています。
これですと新谷医師の主張には信ぴょう性がないですし、新谷医師に対して様々な研究者や団体から抗議があり、公開質問状などもありましたが、新谷医師は明確に回答していないところを見るときちんと調べていないで本を出版したのではないかという疑いがあります。
※新谷医師は遅れて公開質問状に回答したようですがその内容は公にされていないという不可解なものです。
ここをハッキリとさせてほしいです。
また牛乳ではカルシウムを取れないという理由にミネラルの一種である「リン」の問題もあります。
リンは骨のカルシウムを溶かす作用があり、カルシウムにとってリンは天敵です。
カルシウムはリンと結びついてリン酸カルシウムとなり体外に排出されるので牛乳を飲んでもカルシウムを摂ることはできなくて、逆に骨粗しょう症になるという主張です。
調べてみると牛乳100g あたりカルシウム110mg:リン93mgとなっていてリンの方が少し少ないものの、同じ位の量が含まれています。
一般的にカルシウムとリンの摂取量の比率(カルシウム:リン)は、1:1が理想とされていますが、牛乳はほぼ1:1というよりリンの方が少ないので、リンが多いからといる理由でカルシウムが摂れないというのはおかしな理由になります。
ただしリンは加工食品などに多く含まれているので牛乳と一緒にリンが多い食べ物を食べた時にカルシウムがあまり吸収できないとう可能性はあると思います。
実際に牛乳だけ飲むときは他の食べ物と一緒に食べることが多いはずです。
これだけ牛乳を飲んでいるのに日本人はカルシウムの摂取量が少ないと言われるのは、このような理由がある可能性が高いです。
松嶋さんは知人から牛乳のマイナスな部分の話を聞いてそのまま鵜呑みにしたのかもしれませんね。
知人「牛乳って飲んでもカルシウムが尿で出るらしいでー」
松嶋「ほんまー!なら子供に飲ますのやめとくわー」
みたいな感じで信じてしまったのではないでしょうか?
もちろん子供のとこを思っての判断とは思いますしもしかすると今後の実験結果により、やはり牛乳は身体に悪いとなる可能性もあるので、松島さんの行動は否定できません。
ただしそれならば牛乳よりももっと健康に悪いと言われ、砂糖や添加物がたくさん入っている炭酸飲料や清涼飲料水なども飲ませてはダメなのですが、実際はどうなのでしょうか?
牛乳の懸念点、エサやストレスが牛乳に影響?
私が牛乳を飲むことで心配な点は牛乳の質です。
大昔から牛乳は世界中で飲まれてきましたが、そのころの牛乳と現在の牛乳の質にはかなりの差があります。
牛のエサは牧草だけでなく、トウモロコシや大豆(濃厚飼料)も食べています。
一般的には濃厚飼料を食べる理由は牧草だけでは栄養が足りないのでトウモロコシなどを食べて栄養バランスを摂るという理由です。
ですが実際は牧草だけでは量が足りないので飼料を食べさせているという状況です。
もちろん雪が降るシーズンは牧草は食べられないのですがそれ以外のシーズンでも、牧草地が狭くて量が少なく牛が満足に食べられないので、海外の遺伝子組み換えされた大豆やトウモロコシをエサにして食べさせています。
ただこれは酪農家さんを非難することはできません。
現在牛乳の価格はとても安い価格(水よりも安い)でしか農協が買い取ってくれないので、どうしてもエサの質を下げて国産ではなく海外産の安い飼料を購入しています。
そしてそのような飼料は100%遺伝子組み換え作物です。
遺伝子組み換えの危険や安全性については色々な意見があり不明な点もありますが、現時点では「遺伝子組み換えではない」と強調している食品も多いように、遺伝子組み換え食品は安全性に問題があるという意見が多数を占めています。
なので牧草が食べられない時期に食べさせるというのならわかるのですが、日本では牧草地が少なくて牛舎でほとんど育てられている牛もいます。
そうなると濃厚飼料を食べる割合が高くなるのでそのような牛から出る牛乳は安心して飲めるのかという心配はあります。
また牛のストレスの問題もあります。
北海道のような自然が多く、土地も広いところでのんびりと育った牛とせまい牛舎で一生のほどんどを過ごす牛とでは当然牛乳の質が違います。
以前私はチーズなどを扱う食品会社に勤めていたので、ストレスの少ない北海道の牛乳がせまい牛舎で育った牛の牛乳よりも栄養成分や味の点で優れているということを知りました。
これらを考慮すると牛乳はみな同じというわけではなく、やはりどの産地なのか、または「~牧場の牛乳」というように、はっきりと産地がわかる牛乳を飲むことをおすすめします。
牛乳の栄養や効果効能は?
牛乳は必須脂肪酸を含め各種アミノ酸で構成される
良質なタンパク質、やビタミンAやビタミンB群(B1、B2、B6,B12、ナイアシン、葉酸、など)、ビタミンC、ビタミンD,ビタミンE、ビタミンKから
現代人に不足しがちなミネラルもカルシウムをはじめ、マグネシウム、リン、亜鉛,ヨウ素などを含む栄養成分が
バランス良く含まれている食品です。
カルシウムはリンやマグネシウムなどと共に歯や骨を形成するのに欠かせない成分ですが、それだけではなく
カルシウムには精神を安定させる作用もあります。
寝る前にホットミルクが良いと言われる理由は体が温まるとともに、カルシウムの作用と必須アミノ酸の一種であるトリプトファンの相乗効果によるものと考えられています。
そして牛乳は美容にも効果的です。
ビタミンAは皮膚や粘膜の細胞の正常に保持する働きがあり、ビタミンB2は美容ビタミンともよばれ、爪や皮膚、
髪などの体細胞の再生やエネルギー代謝に深く関わっています。
その他にも
●免疫力を高める
●疲労回復
●整腸作用➡便秘解消
などの効果もあります。
ただし牛乳を飲むとお腹が痛くなるとか、下痢になるという方は「乳糖不耐症」とよばれる
牛乳の乳糖を消化できない体質の可能性が高く、日本人は欧米人と比べるとかなり多いです。
ですがこれは病気ではなく温めたものを少しずつ飲んで量を増やしていくと腸内に乳糖分解酵素が増えて次第に飲めるようになります。
どうしてもお腹の調子が悪くなるという方は最近流行りのライスミルクや健康・美容に良いアーモンドミルクが
おすすめです。
これらは牛乳の成分は入っていないのでお腹も痛くなりませんし牛乳のアレルギーの方でも飲むことが可能です。
どちらにしても牛乳は飲みすぎなければ健康や美容に良い成分が豊富に含まれているので毎日1杯程度飲むようににしましょう。
まとめ
最近ではEテレの「チョイス」という番組で認知症のリスクを下げる食事は牛乳や乳製品という研究も発表されているように、牛乳が健康に良い悪いとどちらの報告も発表されています。
今後も研究が進むことにより「牛乳が健康に良くない」とか「牛乳を飲むと~に効果がある」などの結果が発表されて
結局どっちなんだと思うかもしれませんが牛乳は人の健康や美容のための飲み物ではないので人にとって良い部分と悪い部分があると思います。
牛乳に含まれる栄養素が足りない人にとっては良い飲み物ですが、健康に良いということで人より多く毎日飲んだ結アレルギー症状が出たということもありえるわけです。
松嶋さんが発言した番組に出演していた大竹医師はこう発言しています。
「牛乳が万人にとってもいい”完全栄養”だとは思いませんが 毒といのは言いすぎです。人類が長い歴史の中で摂取してきものにムチャクチャいいものもメチャクチャ悪いものもないと思います」
これが結論なのではないかと思います。
大昔から長い間飲まれてきていて健康に悪ければ既に飲まれなくなっているでしょうし、牛乳は人間の為に作られたものではないので、これを飲めば完璧というわけではないです。
また、昔と違って質の良い牛乳はほんの一部です。
牛乳であれば何でも一緒とひとくくりにしてはいけません。
そして質の良い牛乳でも好きな人は飲み過ぎないように1日1杯程度にするのがおすすめです。
特に子どもにカルシウムが摂れるからといって給食で牛乳を飲んでいるのに、家でも牛乳を飲ませるというのは
過剰摂取につながりあまりおすすめできません。
完ぺきな飲み物ではないので体に良い影響を与える一方で飲み過ぎは「お腹をこわす」「アレルギー体質になる」
「ニキビが増える(脂肪が多いため)」という悪影響を及ぼす可能性もあります。
牛乳とはうまくつき合うようにしてくださいね。